新築住宅への太陽光パネルの設置義務化!何んで?耳を疑いました。

家庭用ソーラー 再エネ

テレビを見ていますと、偶然小池東京都知事の姿が映し出されていました。
仰っていることは、温暖化対策を本当に達成するためには、掛け声だけでない取り組みが必要。
これから東京都内で住宅を建築する際には、太陽光パネルの設置を義務付けると言うことです。
いつものパフォーマンスかと思いきや、目がマジです。
みなさんどう思われますか。

私も30代半ばに、分不相応にもローンを組み、マンションを購入しました。
最近、ようやく完済しましたが、当然人生で一番高額な買い物です。
人生の目標でした。
そこから子供たちは巣立ち、親の背を見ながら今度は自分たちの人生を歩み始めています。
戸建てにするか、マンションにするか。
どう言う間取りにするか、場所は駅近か郊外か。
家族で喧々諤諤、意見を出し合いました。
これは、個人個人のライフスタイルの問題です。

「太陽光パネルの設置義務化」
耳を疑います。
温暖化対策のために、しのごの言わせずに太陽光パネルを設置させる。
これは義務、嫌なら東京都に家を建てるな。
と聞こえます。
政府や自治体が個人のライフスタイルにまで手を突っ込み強要する。
まるでどこかの独裁国家ですね。

少し大袈裟に書きましたが、よく調べると、義務化は住宅メーカーの販売総量に対して課されるもので、得意の助成金付きと言うことです。
※太陽光発電「メガソーラー」は環境破壊。やめるべき7つの理由。
実施目標は2025年4月ということで、これからパブコメを集めるそうです。
※東京都で新築住宅太陽光パネル義務化へ

これから持ち家をお考えになるみなさん、どうですか。
私はメガソーラーにはかなり懐疑的ですが、家庭用のソーラーパネルに関しては、首は傾げますが、全くの否定論者ではありません。
もっとやり方があるのでは」という感じです。

これから仕事とプライベートの両方で関係を持たれる就活生もおられると思います。
少しでもアドバイスになればと考えています。

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家庭用太陽光パネル、メリット・デメリット。

インターネットで検索すると、本当にたくさんの太陽光売り込みサイトにヒットします。
人気のほどが伺えます。
本当に怪しいものから、これはまともかも、というものまで玉石混交です。
そんな中で発見したサイトがあります。
※【決定版】太陽光発電のメリット・デメリットをプロが徹底解説

大手家庭用ソーラーの販売会社のサイトですが、

  • メリットよりデメリットを中心に解説しておられること。
  • 対策を記載し、数字で説明されていること。
  • 網羅的であること

で他より少し秀でているような気がします。
引用させていただきます。

デメリット、12

  1. 設置費用が高い。
  2. メンテナンスが必要になる。
  3. 発電量が天候に左右される。
  4. 屋根にパネルの重さがかかる。
  5. 設置に向いていない家もある。
  6. 反射光トラブルのリスクがある。
  7. 出力制御が起きる可能性がある。
  8. 詐欺・騙されるリスクがある。
  9. 雨漏りなど施工不良のリスクがある。
  10. パワーコンディショナーの設置場所が必要になる。
  11. 業者の倒産リスクがある。
  12. 確定申告・固定資産税が必要になるケースがある。

メリット、11

  1. 電気代が削減できる。
  2. 再エネ賦課金が削減できる。
  3. 売電収入が得られる。
  4. 一般的な投資商品と比べて収入が安定している。
  5. 停電しても電気が使える。
  6. 寿命が長い。
  7. 夏涼しく、冬暖かい
  8. ZENにつながる。
  9. 蓄電池との相性が良い。
  10. エコキュート、IHとの相性が良い。
  11. 環境に優しい。

注目ポイント。

ここまで網羅的に記載いただけますと、検討すべき論点が見えやすいですね。
デメリットとメリットが裏腹な意味合いも多いので、まとめて解説したいと思います。

要は採算が取れるんですか。

このサイトでの収支シミュレーションは、「Panasonic」製で最大出力が6kWの160万円のソーラーシステムを設置して、電気代削減と売電収入を合わせた導入メリットが14万円/年、設備の回収年数は13.5年としています。
デメリットの「設備費用が高い」「メンテナンスが必要」はその通りですよね。
どんな家を建てるかにもよりますが、160万円の追加費用は大きいですよね。
メリットの方の「電気代・再エネ賦課金の削減」もこの程度だと思います。
疑問に感じるのは、以下の3点です。

  • 1000kW以下の再エネにはFIT制度が10年間利用でき、売電収入を確保できます。
    その単価はとりあえず17円/kwhとされています。
    が、こんな制度が10年間続くとは思えません。
    単価が激減したり、小口もFIPに変更となった場合、素人でも適切に対応できるのでしょうか。
    また販売側としての、インシュアランスはどうなりますか。
    相変わらず、買った者の責任ですか。
  • 「蓄電池と相性が良い」とありますが、むしろ「蓄電池がなければ成立しない」と考えています。
    自家消費にせよ売電にせよ、自分の都合でハンドリングできてこそ投資価値があるというものではないでしょうか。
  • 3つ目は、当サイトでは全く触れていませんが、耐用年数後の処理の問題です。
    方法・費用に触れていない限り、軽々しく手を出してはいけません

電力会社は味方ですか。

「発電量が天候に左右される」ことはデメリットにありますが、「夜間」のことは全く触れていません。
当然、悪天候や夜間には発電できない、限定的な電源です。
電力は「生産即消費」という商品です。
作りすぎたら間引かれ、出力制御をしないと電気の品質は保てません。
これもやはり「蓄電システム」と併用する以外手はないと思います。
せっかく生産した電気を、虚しく放電する事がないよう工夫しましょう。

リスクが多そうですが。

それ以外のデメリットに記載されている項目は全てリスクです。
信用できるメーカーさんや工務店さんとよくご相談ください。

今導入すべきですか。

キーワードは、産業廃棄物の処理と蓄電システムです。
ソーラーパネルの活用後の処理費用をきちっとコストとして認識し、家庭用蓄電システムを併設したイニシャルコストと、適切なランニングコストを十分考慮し採算計算を行うべきです。
都とか自治体で補助金を検討するなら、このバックエンドまで配慮した制度設計が必要でしょう。
現状、「家庭用蓄電システム」にも、最大容量・出力・設置条件・設備の大きさ・蓄電容量など、未解決の問題点があります。
100〜200万円という初期費用も大問題です。
初期費用100万円、収入36千円/年として回収まで27年かかります。
ただ蓄電システムの技術開発は順調で、家庭用ソーラー+蓄電池で採算ラインに乗ってくる日も近いとの噂も聞きます。
検討すべきはそこからでしょう。
今は時期尚早です。

最後に。

今回の記事を書くためにインターネットで多くの記事を検索しました。
本文中でご紹介したような真っ当なサイトが全てではありません。
むしろ少ないかも。
何が言いたいのかわからない、ひどい場合は何も書いてなく、とにかく電話が欲しい。
「太陽光は儲かるもので、政府が保証している」。
太陽光を導入するならラストチャンスという謳い文句もあります。
自分の商売がラストチャンスということなのでしょう。

電力自由化は「儲けの大チャンス」。
電電公社の時は大儲けした人もいる。
このギラギラさが胡散臭さに変わっています。

福島事故後のエネルギー確保、その前後の温暖化対策。
「再生可能エネルギー」は対策候補。
ただ問題は多く、太陽光に関しては蓄電システムとセットにすれば何とか光明が見えるのではないか。
うまくいって過分な電力が発生すれば、緊急時の非常用電源として使えるし、最後は固定価格買取という選択肢もある。
こういう思考パターンがビジネスとしての「品格」ではないでしょうか。
なんかこの手の話には違和感を感じます。
私自身で「自由化ビシネス」を考えたくなった理由でもあります。

再エネ
塾長こと一村一矢

「電力会社就活塾塾長」こと一村一矢です。
電力会社のOBで、40年あまり原子力発電所を中心に勤務いたしました。
引退後は小説やコラムを書いています。電力ネタはあまり興味のあるモチーフではありませんでしたが、コロナ禍で企業や店舗がバタバタと倒れる中、電力会社への就職希望者が殺到という噂を耳にしました。 電力会社は今も安定企業なのでしょうか? 就活生のために私の知る限りの実態をお伝えいたします。