電力会社就活生の疑問にお答えします。ー電力会社とJRどっち?

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女性車掌 Q&A

インフラ系企業は常に人気のようです。
表題のような贅沢な相談をいただきました。
外国籍の方のようですが、余計にその能力に感嘆しています。
最近になって、あらためて現状も伺ってますので、相談事例として掲載いたします。
なかなか難しい局面のようです。

北海道電力とJR西日本から内定をいただきました。 どちらにお世話になるべきでしょう。

当初は北海道の電力会社とJRと伺っていましたので、両社とも北海道と勘違いしていました。
最近知ったところでは、北海道電力とJR西日本という事でした。
またこの2社であることの理由も伺いました。後述いたしまします。

当時のアドバイスとしては、非常に軽いタッチで答えてしまいました。反省しています。
こんな感じです。

北海道電力に入社すべきです。
理由は「第一志望だからです」。
会社なんてどこに入社しても、「後悔」とまではいかずとも「これで良かったのか」と思うことなど誰にでも、何にでもある「夢と現実との乖離」です。
その時「本当はあっちが第一志望だったのにと思うとダメージ倍増」。
第一志望だったんだからもう少し頑張ろうと考える余地がある方が良くないですか。
北海道電力もJRもインフラ企業で、雰囲気はさほど変わりません。
「安定、ホワイトされど官僚的で傲慢」。
いや「官僚的で傲慢」はJRの方が酷いかも。私が現役時代、最大顧客としてJRと付き合いましたが「ウチより酷い」と感じたことがあります。
あれから時代が過ぎてお互い少しは変わっているかもしれませんが
もう少し深く突っ込んで聞くべきでした。
JR西日本に入社されたそうですが、そもそもの希望は「地域開発」に携わりたいという
ご希望だったようです。
大阪駅北側の旧JR西日本の貨物ヤード用地。関西最後の大型開発といわれる「北ヤード開発」に携わりたいというご希望だったようですが、配属されたのは全く違う部門。
JR西日本を退職し、元の希望の電力会社に再チャレンジされるとのことです。
その精神力には感嘆しますが、何ともったいない。加えて、電力会社に再就職されても仕事の
内容まで叶えていただけるのか、また転職?大変です。
「地域開発」なら不動産ディベロッパー会社に入るべきではと思われる方が多いと思いますが、インフラ会社にもディベロップメント業務はあります。少し趣きは違いますが。

インフラ企業と地域開発。

インフラ系企業を志望される方の隠れた本音です。
表向きは、さまざま美しい理由を述べられますが、本音中の本音は「役人は嫌。安定しているし終身雇用。自分のしたい事もできそうだし何よりもホワイト。」てな感じでは。
私もそうでした。
でも問われると、「日本の産業発展の血液である電力の安定供給に役立ちたい。」
なんて答えていました。
今回の相談者はそうでは無く、純粋に何をしたいかイメージを沸かせておられたようです。
「インフラ系企業に入社し、地域開発に携わりたいということでした。」
明確な仕事内容の希望をお持ちでした。
ところが彼の切なる希望は会社に通じず、当てがわれたのは全く異質な業務。
余計に入社後の落胆は大きかったようです。
最初からそのあたりをお聞かせいただければ、もう少しキッチリとした回答ができたかも、
と後悔しています。

地域開発という仕事

地域開発といえば、不動産会社のディベロップメントというイメージをお持ちだと思います。
当然です。
それがまさにディベロッパーの仕事で、エリアを居住空間として捉え、住宅だけでなく、商業
施設・アミューズメント施設などをトータルで設計します。もちろん目的は不動産販売です。
モチベーションは当然利益追求です。

対して開発に地域よる利益追求ではなく地域住民や自治体との関係で地域貢献のための開発業務
というのもあります。
特に「嫌悪施設」を抱える企業にとっては実は重要な業務です。
「嫌悪施設」とは、まさに「総論賛成・各論反対」。
マクロでは必要と考えるが、自分の隣にくるのは嫌。
というやつです。
一般企業では、ビール工場や海鮮加工工場の「匂い」や空港の「騒音」などを思い出します。
インフラ系企業ですと、鉄道会社の駅、道路会社のインターチェンジ、そして電力会社の発電所
やダムがそれにあたるのでしょう。
しかしながら独占企業の分割・民営化、電力・ガス会社では自由化以降、インフラ企業の
ディベロップメントの質が変化しているように思えます。
地域貢献・振興を第一義としながらも「営利目的でディベロップメント業務を位置づける」
という方向性です。

高速道路会社はインターチェンジを設置している市町村と組んで、車利用客の観光誘致を検討します。
これはもちろんインターチェンジな無機質なイメージを払拭い地域貢献のためのツールとして活用するとともに、車利用客を増加させたいという願いがくみとれます。

ご相談いただいた、鉄道は民営化する前、国鉄時代は「日本一の大地主」といわれました。
未活用な土地も多く、ディベロップメントを昔から考えておられたと思います。
特にJR西日本の北ヤード開発は関西最後の大プロジェクトなどと呼ばれていました。
ダイナミズムを感じることができ、相談者の気持ちはよくわかるところです。

電力会社の地域開発

では電力会社の場合はどうなのでしょうか。

北ヤードはもちろん、地域の大規模開発ということになると、なんらかの形で地域経済界は関与することになります。どの地域でも、電力会社は地域経済界に組み込まれていますし、経済団体への出向という形で地域の開発プロジェクトに関与するのは可能です。

プロパーでの開発業務はどうでしょう。

もちろん自由化以降、各社不動産開発会社を配下に抱えています。
単に地域貢献・振興だけを考えるのではなく、合わせ技で地域エリアの電力需要開発を視野にいれるものです。加えて、光ファイバー・ガス供給・生活関連サービスを包括してサービス提供するというプロジェクトです。

筆者も提案型のプロジェクト営業というのを体験したことがあります。

※みんな知らない電力会社のお仕事。超具体的解説:文系(事務系)。

の「営業部」の紹介の中の episode 38 として記載しております。
是非ご一読いた
だきたいですが、関連部分をピックアップします。

提案型営業のダイナミズム
ソリューション営業のダイナミズムを感じたことがあります。
ある農業専業世帯の多い自治体から「世代変わりで休耕地が増え、地域はこれからすたれる一方。開発計画を電力会社さんで考えていただけないか。
当然電力需要拡大を頭において貰った計画で結構、なんでも協力する」
というご依頼をいただきました。
都市部からの交通の便の良いところだったので、大規模貸農園+農業アミューズメント
施設+農産物販売、エネルギーは休耕地を利用した太陽光発電、という開発提案をしました。
先の自治体にも喜んでいただき当方も所管部署に預けました。結果はどうなったか未確認ですが、とにかく自由化を待って協議しましょうということになっていました。
きっかけ作りだけでしたが、何となく充実したダイナミズムを感じました。
営業活動には「一方得するもの、と双方得するもの」があります。
正解は後者だと思いますが、古き体質の電力は前者と考える人が多いと感じます。
若い感性でウインウインの営業という発想を根付かせていただけたらと思います。

また本サイトでも、地方で古くから発電設備を持つ自治体が多くあり、自治体を中心に自由化ビジネスを起業してはどうかという、提案型の記事も掲載しています。参考に。

電力自由化、ビシネスモデルは地方にあり。パラダイムシフトです。

ご相談者が、電力会社への転職というご要望でしたので、その部分を知る限り詳しく記載いたしました。

最近の自由化により「電力」「ガス」、過去の分割民営化により「JR」「NTT」「JT」「JAL」「JA」「JH」「UR」「JRA」など多数の民間会社が誕生しています。
それぞれの企業活動として、ディベロップメント業務も生まれているのではないでしょうか。

最後にPRです。

わからないことだらけで入社するので、耐えられないことも多く、我慢できず転職を考える。
新入社員が過ぎに転職したくなる。
電力会社がどんな仕事をしているかご存じないままに入社されることに起因すると思っています。

そこで、文系(事務系)、理系(技術系)別にどのような仕事があり何をしているのか。
具体的に部門(仕事)別に解説しようと思います。
おそらくこのような解説記事はどこにもないと自負します。
ただ膨大な記事になることはご了解願います。

<留意事項>
✓部門名の呼び方・組織・業務の分掌は電力会社によって異なりますが大同小異です。
とりあえず私の出身電力ベースで書きます。
ああ、私の志望電力会社ではこの部門のことだな。という感じで推測願います。
✓仕事内容は、これも筆者の現役時代の部門構成で書かしていただきます。
ただし、時代の要請で明らかに変化しているという部門は現状の状況を書きます。
筆者の(想像)という表現をしています。基本は大きく変わらないと思っています。
✓記載方法としては、各部門別に私の記憶の範囲で仕事内容を具体的に解説します。
加えて、就活生の疑問や、知りたいと思われること・知っておいて欲しいことを「episode」
として書き加えます。
書き終えてみると予想通り、事務系55,000字、技術系49,000字、合計104,000字という膨大な記事となりました。
自分の経験の全てをお伝えする渾身の記事です。

文系(事務系)のコンテンツは下記です。
みんな知らない電力会社のお仕事。 超具体的解説:文系(事務系)。

理系(技術系)のコンテンツは下記です。
みんなの知らない電力会社のお仕事。超具体的解説:理系(技術系)。

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塾長こと一村一矢

「電力会社就活塾塾長」こと一村一矢です。
電力会社のOBで、40年あまり原子力発電所を中心に勤務いたしました。
引退後は小説やコラムを書いています。電力ネタはあまり興味のあるモチーフではありませんでしたが、コロナ禍で企業や店舗がバタバタと倒れる中、電力会社への就職希望者が殺到という噂を耳にしました。 電力会社は今も安定企業なのでしょうか? 就活生のために私の知る限りの実態をお伝えいたします。