自然現象の激甚化・気温上昇。電力会社の温暖化対策に期待されます。

地球 脱炭素
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「地球温暖化」の恐ろしさを身近に感じます。

みなさんは「地球温暖化」を身近に感じることはありますか。
私は今、まさに「過去経験したことのない災害級の台風」「数十年に一度の大災害」「線状降水帯が発生すれば、今月分の降雨量が一晩で降るレベル」などと騒ぎ立てられながらこの記事を書いています。

電力会社の台風対策

同時に電力会社の諸君は、ダム運用による下流域の安全確保、停電対策などなど、大騒ぎになっていることと思います。
台風の進路が海岸沿いなら、発電所も多数立地されており、安全性を確保しなければなりません。
海近くの電柱にある総配電線や変圧器に海水がかかれば、電力の供給障害が起きます。
みなさんが思っているより遥かに多くの心配事があるものです。
今頃は、技術系を中心とした、あらゆる関係者が集まる「台風対策本部」が設置され、前面に立てかけられたでっかい白板に集まった情報を漏らさず書き、本部長の指示のもと忙しく走り回ります。
「白板」は古いですか、今では「パソコン?」。
語弊がありますが懐かしいです。

地球温暖化の実感

こんなに大きな台風、昔からありましたっけ。台風はどこか南の海で発生し、やってくるものと思っていました。
ところが今回は日本近海で突然発生しパワーを溜め込んだまま上陸してきます。
日本近海の海水温が上がっているからということです。
920ヘクトパスカルなどという猛烈な嵐。
倒れる壁、大型看板や、車が飛ばされる様子。
大木が根こそぎ倒れる映像。
背筋が寒くなります。
朝起きれば、道が川になって家が人間ごと持ち去られるのくらいの洪水。

今年は6月下旬から40度近い気温となり、3ヶ月後の今でも台風一過で37度予想とか言ってます。
私の実感ですが、昔は夏休みでも30度を超えるのは2〜3日くらいで、プールなんか行こうものなら、3時くらいには少し涼しくなり、スイカなんか食べたら、そのままクーラーも付けなくても爆睡。
日本は亜熱帯になったのでしょうか。

世界的にもいろいろな異常気象を耳にします。
シベリアで記録した38℃の異常高温。
カナダで50℃を超える熱波、それに起因する山火事。
ヨーロッパでの洪水。
中国の三峡ダムを決壊させるのではないかとも懸念される豪雨。
偏西風の蛇行によるものということですが蛇行の要因は地球温暖化の影響ではないかと言われています。
地球温暖化による海面上昇の影響で、国土そのものが水没するのではないかと懸念されている太平洋島しょ国もあります。

愕然とする電力会社

さまざまな災害対応や準備は電力会社の企業努力で解決可能な対応です。
夏・冬の供給力不足はそういうわけにいきません。
今夏は何とか乗り切れたようですが、今年の冬については大変厳しい見込みを持っているようです。
※ 今冬の電力需給見通し、全地域で安定供給に必要な基準上回る。経産省は節電要請
全地域で安定供給ギリギリのラインは確保できているものの、国は「節電要請」するということです。
何が起きるかわからないということです。
各社稼働予定の原子力発電所の多くは、いま定期検査に入っております。
冬ピークを迎えるまでに稼働させようという意図でしょう。
電力会社の準備は万全です。
何が起きるかわからないというのは、「予想以上の厳冬」「発電所の事故停止」「ロシアのウクライナ侵攻による天然ガス調達の不透明感」ということです。
異常気象、事故、政治です。
電力会社で処理できない不確定要素が多くあり、結果「節電要請」。
こんなもの供給計画でも何でもありません。

前にもご紹介しましたが、昔は夏だけでしたが、ピークに備えて綿密な供給計画を決定し、どの部門の社員も一丸となってそれに向かっていることと思います。
※ 電力会社の電力安定供給の考え方についてご説明いたします。
3回目だからもう慣れてる?
前回は予備力1%まで追い込まれたから、今年は楽々?
そんなはずはありません。
「地球温暖化」のツケは電力会社にも大きく回ってきています。

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地球温暖化の経緯と決定事項

これにつきましては、みなさま、電力会社入社希望の方で、当然勉強済だと思いますので詳しくは触れません。
25年前の「京都議定書」で、世界は「温暖化対策」の重要性を認識し、7年前の「パリ協定」でようやく足並みが揃い、

  • 世界の平均気温上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をする。
  • そのため、できる限り早く世界の温室効果ガス排出量をピークアウトし、21世紀後半には、温室効果ガス排出量と(森林などによる)吸収量のバランスをとる。

ことが決まったということです。
IPPC(気候変動に関する政府間パネル)の第5次評価報告書は、このまま気温が上昇を続けた場合のリスクを次のように示しています。

  • 高潮や沿岸部の洪水、海面上昇による健康障害や生計崩壊のリスク。
  • 大都市部への内水氾濫による人々の健康障害や生計崩壊のリスク。
  • 極端な気象現象によるインフラ機能停止。
  • 熱波による死亡や疾病。
  • 気温上昇や干ばつによる食料不足や食料安全保障の問題。
  • 水資源不足と農業生産減少。
  • 陸域や淡水の生態系、生物多様性がもたらす、さまざまなサービス損失。
  • 同じく海域の生態系、生物多様性への影響。

こう並べられると、国の安全保障にも大きくかかわるような事態のような気もしますね。
でもせっかく決まった対策の足元を揺るがせているのも安全保障に関わる「戦争」です。
エネルギー供給を武器としか見做していない国があります。
2050年カーボンニュートラルを打ち出した我が国はどうするのでしょうか。
EUでは石油の70%、石炭の50%の二酸化炭素を排出する天然ガスを「ギリギリセーフ」とか言ってますよ。
300年かけてこんなにした地球を、30年で元に戻すんですよ。
大丈夫でしょうか。

母なる地球

人口衛星から撮影された地球の姿。
誰もが一度はご覧になったことがあると思います。
エメラルドグリーンに輝くその美しいたたずまいは、他の惑星とは一線を画すものではなかったでしょうか。
しかもただ美しいだけでなく、何十億年という悠久の年月をかけて、生命を生み育み続けた母なる惑星でもあります。
その精緻で行き届いた仕組みの構築は、神の思し召しとしか思えない奇跡の連続だったものと思えます。

しかしここ最近、悠久の歴史で比較すると一瞬でしかありませんが、何百万種もいる兄弟のうち、ただ一種の生物により、地球はもだえ苦しんでいるような気がします。
「地球温暖化」。
人類という親不孝者が無茶を続け、寛大な母もついに堪忍袋の緒が切れかかっているように思えます。

脱炭素
塾長こと一村一矢

「電力会社就活塾塾長」こと一村一矢です。
電力会社のOBで、40年あまり原子力発電所を中心に勤務いたしました。
引退後は小説やコラムを書いています。電力ネタはあまり興味のあるモチーフではありませんでしたが、コロナ禍で企業や店舗がバタバタと倒れる中、電力会社への就職希望者が殺到という噂を耳にしました。 電力会社は今も安定企業なのでしょうか? 就活生のために私の知る限りの実態をお伝えいたします。