電力会社を辞めたい人へ。カルテルで企業イメージは地に落ちました。

カルテル 企業体質・イメージ

驚きました!
ここまでやるとは。
さまざま電力会社の企業体質を批判してきましたが、今回はあり得ない事案です
※参考:産経新聞〈特報〉カルテル、関電提案か 課徴金免除、他電力「ぬけぬけと」

これまでの不祥事は、電力会社の「傲慢さ」「非常識」「世間ズレ」とかいろいろな要素がありました。
過去に電力会社の企業体質をテーマに記事を書いてきましたが、
※電力会社の「人間関係」に悩むあなたへ、辞める前に読んでください。
※変わりたい、変われない電力会社の企業体質。このままでは周回遅れに。

今回は次元が違い「犯罪」です。
独占禁止法違反です。
「企業倫理」という最後の一線を超えてしまったような気がします。

自身の出身業界ではありますが、電力会社に対する気持ちは大きく変わりました。
今回の事件を引き起こした役員たちは、私とほぼ同世代です。
自分が生きてきた会社を愛し、ダメな所は何とか改善してほしいという気持ちでした。
これまで通り、エネルギー問題や温暖化対策に関しては、電力会社は国や経産省の考え方に意見したり、実行したりする立場でいて欲しいと思っていました。

しかし、今回の事件で、自分の40年間は何だったのかという情けない思いと、裏切られたという悔しい思いでいっぱいです。
同年代だからこそ敢えて言いたいです。
今の役員に、そんな国家の趨勢を握るような仕事をさせてはダメだと思います。
特に原子力は何かが起きるような気がしてなりません。
電力会社は解体的な「電力システム改革」を行い、もっとまともな人と全員入れ替える必要があります。
社員全員がこんな考えではないと信じていますので、残った良心のある方々とこれから電力会社を担う方々で、なんとか再生を考えていただきたいと思います。
ただ堪らない、もう辞めたい。
という方には惜しみなく情報提供をするつもりです。

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何が起きたのか。

関西電力が音頭取りし、九州・中部・中国各電力に働きかけ、「特別高圧」「高圧」という大所の顧客の食い合いを止めることとしました。
電力自由化で、新規参入は仕方ないが、旧知の友達同志の争いだけはやめましょうという申し合わせをしました。
これが独占禁止法違反に当たるということです。
発覚したのは中部電力からの内部告発ということですが、なぜかリーニエンシー制度が適用されるのは、言い出したはずの関西電力だということです。

リーニエンシー制度とはカルテルなどの「競争法違反行為」について自ら当局に申し出た者には競争法上の不利益を免除・軽減するというものです。
要は「最初に言いつけに来たものは許してあげる」という制度です。
それを、今回は取りまとめ役であるはずの関西電力に適用されるということです。

過去はスーパーゼネコン、最近ではオリンピックに関連した「入札談合」が有名になりました。
国や自治体発注に絡むものが談合、業界で勝手に決めるのがカルテル。
本来競争で決められるべき価格や生産数量が一部の業者により話し合いで決めてしまう「競争妨害行為」という意味では同じです。

1000億円を超える過去最大の課徴金が、中部・中国・九州各電力に課されるようです。
関西電力には「裏切り者」という有り難くない冠称が与えられます。
同社に対する他電力会社の怒りは渦巻いており、追徴金が課されなくても罪は同じ的な公正取引委員会のコメントもあります。
※参考:読売新聞 関電主体のカルテルなのに…電力各社、関電の「無罪放免」に怒り

また同社は会社を震撼させた原子力不祥事の直後の出来事です。
「高浜町の金銭授受事件」の後処理のために就任した社長がたった1期で退任したのは、この「競争妨害行為」のせいではないのかという報道もあります。

これまで連綿と築き上げてきた電力会社への信頼感、会社としての品格や威厳は地に落ちました。

この不祥事の影響。

国のやりたい放題。

国のエネルギー政策や地球温暖化対策に関し最後に決断するのはもちろん政府です。
ただそこに至るまでには、専門家はもちろん業界団体の意見もある程度反映されるというのが常だったと思います。
その結果が過去の中途半端な「電力再編」であった、というのは前にも記事にいたしました。
今回の不祥事により、さらに国のやりたい放題になることは容易に想像できます。
50年間地域独占だったのだから、少しくらい許されるだろう。
こう思っていた甘い人たちに独占禁止法違反の鉄槌。
カーボンプライシング、排出量割り当て。
電力会社にとって看過できない政策が既に打ち出されようとしています。

電気事業連合会人事。

電気事業連合会の会長人事が不透明です。
古くは東京・関西両電力で持ち回りのようになっていましたが、相次ぐ原子力の不祥事で、既に現会長は九州電力社長です。
今回の件で、西日本は全くダメ、他の電力会社も自分のことで精一杯という状態です。
これまで業界団体として、大きな発言力を持ってきましたが、瓦解するような気がします。
加えて、今回リーニエンシー制度で追徴を免れた関西電力に対するバッシングは容易に想像できます。
関西への電力融通が必要な事態になったらどうなるのでしょう。

2023年度電力料金値上げ。

国際情勢による燃料費高騰などの影響で、関西・九州以外の電力は40%近い料金の値上げを表明しています。
関西・九州は原子力発電所の再稼働が認められたプラントが多く、料金値上げは回避できるとのことでしたが、今回九州電力は何百億という追徴金が課されます。
全く不透明となります。
また、カルテルのツケをなぜ需要家が負担しなければならないのかという批判は当然出ることでしょう。

社員・就活生のモチベーション減退。

これも当然ですよね。
就活生や、苦労して入社できた方にとっては腰が抜ける程の驚きと怒りだったと思います。
もう入社したくない。
辞めたい。
という方も増えることでしょう。
このサイトのあり方も考えないといけないかもしれません。
とりあえずは、

  • それでも入社したい人への情報発信の継続。
  • 転職者へのリード。
  • 企業体質を変えたい人の応援。

で記事制作したいと思っています。

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今後の記事。

今回は驚くべき事件が起きましたので、本件を特集いたしましたが、以降は前にもお伝えした通り、

  • 電力会社を辞めずに転職する方法。
  • 転職の具体的事例(私の周りの人)何記事か。
  • 転職先はどんな会社。
  • 転職と資格
  • 転職支援会社○選

を書いていきます。

企業体質・イメージ
塾長こと一村一矢

「電力会社就活塾塾長」こと一村一矢です。
電力会社のOBで、40年あまり原子力発電所を中心に勤務いたしました。
引退後は小説やコラムを書いています。電力ネタはあまり興味のあるモチーフではありませんでしたが、コロナ禍で企業や店舗がバタバタと倒れる中、電力会社への就職希望者が殺到という噂を耳にしました。 電力会社は今も安定企業なのでしょうか? 就活生のために私の知る限りの実態をお伝えいたします。