電気事業連合会CMの今田美桜さんが話題。でも、華はこれだけです。

夕日とカップル 企業体質・イメージ

電力業界にも業界団体があります。
電気事業連合会です。

先日、久しぶりに検索すると「CMの女優は誰?」がトップでヒットしました。
今田美桜さんですよね。
博多出身の押しも押されぬ大女優・タレントさんですね。
美しい中にも知性が漂います。

電力会社とタレントさん。
CMに限らず、媒体への出演交渉は難航します。
特に原子力発電が関係する場合、推進側に与しているという印象を与えるのではないか。
ということで、タレントさんご本人、所属プロダクション双方からNGとなることが度々あリます。
原子力に反対する人も、そのタレントさんのファンかもしれないと思うと慎重にならざるを得ないということでしょう。

電力業界にいた人間にとっては、石坂浩二さんのようなベテラン俳優なら、エネルギー問題にもご自身に一本筋の通った信条があるのだろうなと思い納得できますが、あんなに若くて、今をときめく女優さんがご出演を了解されたのは意外です。
それゆえ余計に今田さんの「知性」を感じざるを得ません。

それはさておき。
電気事業連合会で検索し、ヒットするのがCMで良いのでしょうか。
その後さらに検索すると、電力会社個社の不具合で、業界団体として頭を下げまくる池辺会長の姿ばかりが出てきます。

その昔、勤務希望に「海外勤務」を記載していたことを記事にしました。
さらに第2希望には必ず「電気事業連合会」と書いていました。

私にとって、花のお江戸で電力会社代表。
それは「憧れ」でした。

戦争を止められない国連安全保障理事会の次に不要な組織、と揶揄する人もいます。
なんでこうなんの?です。

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栄華の夢。

そもそも電気事業連合会てなに?
1952年(9電力地域独占体制への戦後業界再編の翌年)に発足。
その後沖縄電力が加盟し10電力体制に。

事業内容としては、

  • 電気事業に関する知識の普及、啓発および広報
  • 電気事業に関する資料、情報等の収集および頒布
  • 電気事業に関する調査研究および統計の作成
  • 電気事業に関する意見の表明
  • その他、本会の目的を達成するために必要な事項

ということです。

個社で決定する電力需給計画をはじめ、収支計画・電源開発計画・人員計画などの全電力の動きを集約・報告・発表します。
また政府や経産省へのロビー活動や、反対に政府などからの要請に対応する窓口にもなります。
政治家・官僚、財界他、ステークホルダーとの関係構築も、もちろん重要業務です。
企業献金などの黒歴史もありましたが、今では法的規制で昔の物語になっています。
また、冒頭ご紹介したCMなどの普及啓蒙も、個社では地域媒体しか対応できないので、全国ネットへの対応は電気事業連合会で行なっていました。

電力業界全てを代表しての対応なので規模感や意味合いが大きく、電気事業連合会の動静が、他の業界に影響することも多く、そういう意味でのダイナミズムはあったと思います。

費用の出自は各電力会社が需要家数に応じて分担金として支出いたします。
結果、東京・関西・中部の中央3電の支出額が多くなり、発言力もこの順番となります。
東京電力が盟主として全てを決めようとする。
関西電力は何かと逆らおうとするが、最後は渋渋従う。
中部電力はまた兄さん2人が喧嘩していることを呆れながら淡々と対応。
その他はまあまあ良い感じでということでしょう。
まるで、プロ野球のジャイアンツvsタイガース、たまにドラゴンズです。

その昔、入社して間もない正月明け。
政府の要請として電気事業連合会の仕切りで、ある依頼が来ました。
景気対策として「公共事業の前倒し発注」に対応し、設備形成・補修計画を無理矢理にでも可能な範囲で年度内に実施せよとのことです。
電力会社の設備形成や補修は、ご想像通り膨大なもので、年度明け発注予定分をすぐに実施することが、日本の景気対策に繋がるという趣旨です。

私も末端の仕事にタッチさせてもらいましたが、当時仕事の意味合いのスケールの大きさに驚くとともに「自分の入社した会社は凄い会社」。
少し誇らしい気持ちになったことを記憶しています。

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伝染する体たらく。

電力業界に大きなインパクトを与えた東日本大震災に伴う福島事故。
電気事業連合会への影響も推して知るべしです。
震災そのものはもちろん、その後電力会社が引き起こした数々の不祥事。
列挙するのももう嫌なので過去記事をご覧ください。
※「電力会社、やめとけ」そう言わざるを得ない不祥事が頻発しています。

電気事業連合会の「組織概要」を見ると、会長(九州)、副会長(北海道・四国・中部)。
トップ4役に、ヘマばっかりの東京・関西の名前はありません。
福島事故そのものと高浜町助役からの金銭授受、その他諸々。
引責してどこにも出番はないようです。

可哀想なのは池辺会長です。
謝ってばっかり!
でも、この人も九州電力ご出身です。
業界代表であると同時に「カルテル」「送変電会社の個人情報共有」の当事者です。
本音では、九州男児らしくスパッと投げ出したいのでは。
失礼。

個社が体たらくですから、その集合体である、憧れの電気事業連合会も雲散霧消でしょうか。

ここにも悪しき企業体質。

福島事故はもちろん、その前から規定方針として自由化がありました。
それまでの長い地域独占の体制で培ってきた、プライドとわがまま体質。
「どうなるのかな」とは思っていました。

しかし、そこはそこ。
どの業界でも、普段は身をすり減らすような競争をしながらも、業界全体の嵩上げも重要という発想で、濃淡はありますが「業界団体」は存在します。
自動車・石油・薬品などなど。
電力会社も大人の対応をするものと信じていました。

ダメでした。
カルテル、自社利益のみを考えた不祥事の数々。
電気事業連合会そのものが談合団体とみられませんか。

新しい会社やビシネスモデルが芽吹いています。
大手は退場でもいいのでは。
と思わざるを得ません。

企業体質・イメージ
塾長こと一村一矢

「電力会社就活塾塾長」こと一村一矢です。
電力会社のOBで、40年あまり原子力発電所を中心に勤務いたしました。
引退後は小説やコラムを書いています。電力ネタはあまり興味のあるモチーフではありませんでしたが、コロナ禍で企業や店舗がバタバタと倒れる中、電力会社への就職希望者が殺到という噂を耳にしました。 電力会社は今も安定企業なのでしょうか? 就活生のために私の知る限りの実態をお伝えいたします。