電力会社の就職・転職に「資格」は必要?でも目的化してはだめです。

電気主任技術者 就職・転職

SNSを見ていますと「資格」に関する意見が多いようです。
こんな「資格」を取った・取るつもり。
このブログでも「電力会社の就活に資格があった方が有利なのか」という疑問にお答えするつもりで記事配信いたしました。
※電力会社は就職が難しい、資格も必要ではと悩む方が多いようです。

どちらかというと否定的なお答えをしました。
事実、ある元電力会社社員の方は、自身のブログで「運転免許」さえあれば問題なし。
と書いている方さえおられます。
私もそう思います。
必要ならその時考えればいい。
業務上必要なものなら、該当資格を取得する社内体制も整っていると思います。

とはいえそれでは愛想なしですし、一定の悩みを持つ方を無視しているような気がします。
それほどSNS上で「資格」に関する興味を持つ方は多いと感じました。

結論から言いますと、ほとんどの方が「資格」を取得することが目的化しているような気がします

「資格」はあくまで手段であり、この「資格」を持って、
自分はこうなりたい・こういう仕事に就きたいというのがほとんど見えてきません。
就活生なら、面接でこんな「資格」を持っています。
だけですから、人事は「あ、そうですか・・・」という反応になるのです。
だからこういう仕事について、こういう形で会社にメリットを生み出したい。
ここまで答えるべきです。

私の長女は「税理士」です。
資格を取る時に「資格を取ってどうするの?」と問いました。
持っていればなんとなく将来得なような気がして、的な答えが返ってきたら辞めさせるつもりでした。
それなりに厳しい試験ですし、資格を持っても有資格者同士の競争も激しい業界です。
答えはこうでした。
「自分は好きな人がいて結婚したいし子供も欲しい。
子供が5歳になったら主婦業だけではなく仕事もしたい。
その時、単なるパートよりも充実できるし、時間単価もいいと思う。
だから今のうちに勉強しておきたい。」
「うん?」と思いましたが、自分の近未来の姿をイメージできています。
なんのためにという部分も彼女なりに持っていました。
「子供が5歳まで」というのが、人格形成までは自分で、というところまで考えていると思いました。
感染症の影響で、リモート勤務になり、娘にとっては追い風になっているようです。

SNSを見ていて感じたことはこの一点です。
でもこれがなければ、単なる「資格収集が趣味の人」です。
事務系で、本来資格を云々する資格のない人間です。
しかも言及できるのは電力関連の「資格」だけですが、トライしてみます。
参考になれば幸いです。

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電力関連資格。N E T界隈。

個人の元電力会社社員は、先程の「運転免許」だけあれば大丈夫というものです。

では法人はどうでしょうか。
予想通り、資格取得の支援・学習の会社が多いみたいです。
電験三種を例に取りますと、

  • 高いレベルの技術者として位置付けられる。
  • 業務独占資格なので需要は減ることはない。
  • 現場経験とコミュニケーション能力が大切。
  • 電気工事士やボイラー技士などの他資格と併せ持てば無敵。
  • 就職先は、電気保安会社・ビルメンテ・再生可能エネルギー。
  • 年収は300〜600万。

というところでしょうか。
再生可能エネルギーに触れているのは立派ですね。

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有資格者の強み。

ここから先は電力会社の現場を長年見てきた人間の私見です。
そのつもりで。
ただN E T界隈の記述とは一風変わっていると思います。
癖が強いです。

電力会社資格の分類。

X軸を「有資格者数」、Y軸を「有資格者の需要」とします。
本来なら、Z軸に「取得難易度」があるのですが、ややこしくなるので無視します。

  • 第1象限 需要は多いが、有資格者も多い。
  • 第2象限 需要が多いが、有資格者が少ない。
  • 第3象限 需要が少なく、有資格者も少ない。
  • 第4象限 需要が少ないが、有資格者は多い。

誰が考えても、第4象限は夢のない資格、第2象限がベストですよね。
でも電力会社は少し違うと思っています。
第4象限は夢のない資格、第2象限がベスト、は同様ですが第3象限も重要なのです。
典型的な例は「原子炉主任技術者」です。
有資格者は本当に少なく、需要もほぼ原子力発電所だけではないでしょうか。
「原子力規制委員会が主管する国家資格で、原子炉等規制法に基づき、炉ごとに選任が義務付けられる」とあります。
資格もポストも希少ですが、入社されれば厚遇されること間違いなしです。

私は技術職場は原子力しか知りませんが、探せばいくつもあるのではないでしょうか。
ボイラー技士や電験一・二種などもそうではないでしょうか。
調べてみてください。

電験三種(第三種電気主任技術者)。

電験三種は、第2象限だと思います。
SNSでもこの有資格者・取得希望者が多いですね。
第2象限ですが、「電験三種」は他の資格と大きく違う点があります。
需要業種が増え続けているという点です。
電験三種を取って、電力保安業界かビル管理業界に就職する。
収入は、まあそこそこ。
何年か前はこうでしたよね。
先程の資格支援会社が「再生可能エネルギー」を資格職場として考えているのは立派とお伝えしましたが、現状はそれどころではありません。

私が退職する際、地元の保安会社の理事長のところに挨拶に行きました。
彼は先輩で電力会社から出向しています。
開口一番、
お前はこれから何をする気か。
すぐに人材派遣会社を作って、電験保有者を集めてこい。
お前くらいのジジイでもいいし、青田買いでもなんでもいい。
それがダメなら、お前が知り合い何人か集めて電験を受けろ。
むちゃくちゃです。
事情を聞くと、電力会社がメガソーラーを建設中。
理事長は全くイメージになかったらしいですが、考えたら当たり前、主任技術者が必要です。
加えて、同じグループ内で自由化対応でESCO事業を始めるとのこと。
これは自分で有資格者を抱えるらしい。
要はグループ内での人材の食い合いです。
すいません。
この話、ストーリーは少し盛っていますが、内容は事実です。

こんな状態は、これからも変わりません。
ご存知の通り、政府方針により再生可能エネルギーが増加するのは間違いありません。
また自由化により新しいビジネスモデルが登場するのも間違いありません。

そんな中、資格を取ることだけを目的にするのはもったいなくないですか。
次にどんな目的を持つのがいいか。
ご提案します。

第三種電験、資格取得の目的(ご提案)

どういう目的・目標?
3点ご提案します。

チマっとした目標

タイトルが変ですね。
先程年収が300〜600万という話をしました。
定年後、どこかで働いて月収20万円もらうことが、いかに大変なことか。
みなさん若いので理解できないと思います。
政府は同一労働同一賃金とか言ってますが、派遣労働だけでなくジジイ労働も考えて欲しいです。
前に長女の話をしましたが、今になると実は大変しっかりした考え方だと思っています。
電験三種をお持ちの方はそこを目標にするのもアリかなと思っています。
チマっとしてますが。

普通の目標

これまでのように資格を取って、できるだけ有利な条件の会社を狙われるというのも当然ありです。
前述の再生可能エネルギーやESCO事業、さらに今後新しい事業が続々と登場します。

個人的には、電力自由化、エネルギー危機、カーボン・ニュートラルなどを考えると、自由化ビジネスの資源を有しているのは山奥の自治体だと思っています。
唐突な話ですいません。
これは自由化ビジネスのカテゴリーで記事にします。
小電源の自家消費や全量買取制度の利用、カーボンオフセット、田舎自治体に利ありと思っています。
これまでの大都市優先のビシネスが、電力自由化により地方に移る。
大袈裟ですが、日本のビジネスのパラダイムシフトと思っています。
こういう地方の自治体で虎視眈々とビジネスを目指しているところが多くあります。
みんなあまり目をつけないところで資格を活かすという考え方もあります。
どうでしょうか。

別の目標

私が若かったらこういうことにチャレンジしてみたいという意味でご提案します。
前にご紹介した地方での自由化ビジネス。
状況が許せば、すぐに企画書を作り、自分で絵を描き提案します。
こう言うことを考える人や会社が必ず現れます。
というかもう蠢いています。
そこに技術コンサルとして参画するという手もあります。
面白そうですね。
資格を持つというのは、そこまで道が開けるものと思っています。
地域によっては、自治体でNPOを立ち上げ、前に進めようとしているところもあります。

最後は夢のような話になり失礼しました。

就職・転職
塾長こと一村一矢

「電力会社就活塾塾長」こと一村一矢です。
電力会社のOBで、40年あまり原子力発電所を中心に勤務いたしました。
引退後は小説やコラムを書いています。電力ネタはあまり興味のあるモチーフではありませんでしたが、コロナ禍で企業や店舗がバタバタと倒れる中、電力会社への就職希望者が殺到という噂を耳にしました。 電力会社は今も安定企業なのでしょうか? 就活生のために私の知る限りの実態をお伝えいたします。