電力会社社員の転職希望者に。ー業界内にも転職先があります。ー

悩む女性 就職・転職

電力会社転職事例の第4弾です。
タイトルに「業界内にも転職先があります」と書きましたが、もう少し正確に書きます。
「電力業界、電力関連団体・会社、エネルギー関連団体、地域団体」と思ってください。
全部書くと長すぎるので、こういう表現にしました。

  • 電力業界。
    もちろん他電力、発電専門会社などがこれにあたります。
  • 電力関連団体。
    電力業界が、業界として必要と考える業務を担うために、各社で資本金を供出し設立している団体や会社があります。
    電気事業連合会、電力中央研究所、日本原燃などです。
    さまざまありますので、ご自身でお調べください。
  • エネルギー関連団体。
    エネ庁のホームページを見ますと山ほど出てきます。
    ※エネ庁:関連リンク集
    こんな中に電力会社から出向者を出している団体が多くあると思います。
    人件費削減のために、電力会社から手弁当で出向しているということです。
    電力会社によって出向先が違いますので、調べて見てください。
  • 地域団体。
    電力会社は各地で有力な企業だと思います。
    経団連はじめ、各地の経済団体に出向者を出しているのではないでしょうか。
    同友会や商工会議所など経済3団体に出向者を出している会社もあるかもしれません。

何度も書きましたが、分社化は今の「発送電分離」だけでは不十分と考えております。
もっと大胆な、大手電力会社解体的な「電力再編」が必要と考えております。
そうなると、前述のような出向先もどうなるのか想像できません。

逆に言うと、今がチャンスかもしれません。
今回は上記のうち、私の先輩で原子力専業会社(他電力会社)に出向された方、同年代で原子力規制庁(エネルギー関連団体)に出向したお2人をご紹介いたします。

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原子力専業会社。

この方は入社後、秘書部に配属されました。
原子力担当副社長の担当となりました。
その副社長は仕事には厳しく、原子力の技術陣はピリピリしていたそうです。
ただ秘書には優しく、逆に気を遣ってくれるぐらいの方だったそうです。
ご本人は「役員クラスの方とお話しする機会がなかったから」と言うことですが、ある原子力専業会社の社長として転出される際「一緒に来てくれないか、考えといてくれ」と言われたらしいです。
入社間もない社員にも、人事にもノーと言える筈がありません。

そのまま保護者である社長は退任。
同時に出向元に戻るかと聞かれたそうですが、時すでに入社8年。
その会社の空気感にも馴染んでおり、そのまま置いてもらえるよう依頼されました。
まだまだサラリーマン人生は長く、大決断です。
私も原子力が長かったので、その方とも何度もお会いしました。
ご本人は、奥様の希望と仰ってましたが、最後に「これも俺の人生の一手。あそこから戻ってやり直すという選択肢はなかった」と言うことでした。
当然もう引退されていますが、役員一歩手前までなられました。

当時入社した会社と違う会社に「運命的」に転籍しながら、それを淡々と受け入れておられる「胆力」。
尊敬していました。
そう、私の時代には、転職には「運命」と「胆力」が必要だったのです。

私がみなさんの「電力会社を転職したい」と言うコメントへの最初の違和感はこの辺り。
すなわち軽すぎることでした。
しかし、考えたら自由化以降、そういう選択肢が与えられたと言うことでしょう。
今ではそう理解しています。
時代に取り残された大手電力会社の体たらく。
国の政策の狙い。
全てがその方向に向かっていると思います。
今や電力会社には、昔のような風格も威厳も何もありません。
普通に若者が愛想を尽かす会社です。

前にも言及しましたが、発電専業会社は自由化のおかげで、ビジネスチャンスが大きく拡大しているような気がします。
今やこの先輩のような「運命」や「胆力」はいらないと思います。
何がご自身のためか、だけをお考えください。

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原子力規制庁。

今回の二人目の話です。
重々ご存知の通り、原子力規制庁は環境省の外局で、原子力の規制官庁です。
なぜか規制庁に再就職した方の話です。

この方はその昔、経産省の外郭団体に出向しておられました。
その際、出向先も仕事の内容もよく私は知りませんが、なんとなく自分と水が合ったと言うのを耳にしておりました。
何かのタイミングで、もう一度勤務したいという気持ちと、あなたなら歓迎です、と言うのがマッチングしたようで、再出向どころか転職してしまいました。
どうも、着任してから福島事故が発生し、経産省から規制庁というルートができたように聞いています。
彼の専門は経理なので、技術的にどうのこうのと言うことはないと思いますが、何が人生を左右するか全くわかりません。

電力会社に入社し、最後は電力会社を規制する立場です。
この方も数奇ですが、やっぱり「運命」と「胆力」だと思います。

まとめ

これまで、転職を考える際に、まず検討いただきたいことを書いてきました。

  • 転職を考えるなら、目指す「なりたい自分」に向かって周到な準備を。
    電力会社をできるだけ利用すべき。
  • 自由化以降、電力会社のグループ会社も激増しており、業界違いも多い。
    これらの会社に出向するのも転職の一つ。
  • さらに拡げて業界や関連団体・企業に転籍する手もあり。
    ただこれは相手のあることで、運も必要。
  • 転職すべき人は、今所属する会社の活動に疑問を持つ人。
    無理して我慢すると不幸になるしかない。

何か気に入らないことがあって「もうヤメ!」という人が多いようです。
でも電力会社は間口が広く奥深い会社です。
一度だけで構いません。
立ち止まってください。
10数えてください。
閃きもあると思います。

就職・転職
塾長こと一村一矢

「電力会社就活塾塾長」こと一村一矢です。
電力会社のOBで、40年あまり原子力発電所を中心に勤務いたしました。
引退後は小説やコラムを書いています。電力ネタはあまり興味のあるモチーフではありませんでしたが、コロナ禍で企業や店舗がバタバタと倒れる中、電力会社への就職希望者が殺到という噂を耳にしました。 電力会社は今も安定企業なのでしょうか? 就活生のために私の知る限りの実態をお伝えいたします。