大手電力会社就職、おすすめ比較。企業体質は微妙に違うようです。

電力ウーマン 企業体質・イメージ

関西電力の不祥事がまた報道されました。
今度は「顧客情報漏洩」です。
※日経新聞:新電力の顧客情報漏洩 関電、送配電子会社から小売部門

報道を読むと、注目は3点です。

  • 単なる「顧客情報漏洩」ではなく、分社化したはずの関電送配電の情報を、こともあろうか、関西電力の小売部門の社員が自由に閲覧できる状況であったこと。
    関電には「元々同じ会社なんで良いだろう」的な脇の甘さがあったことと、経産省肝煎りの政策を蔑ろにしたことになり「業務改善命令」という重い処分まで視野に入る事態になること。
  • 「分社化」をできるだけ有耶無耶にしたい電力会社にとって、わざわざ経産省が本気にならざるを得ないコンプライアンス違反を犯したこと。
  • 事件の発覚が内部告発であったこと。

最近立て続く不祥事のあと連鎖的に続く「内部告発」。
事件も末期的で、経産省も怒り心頭でしょう。
これまでの一連の事件を受け、経営陣の引責、場合によってはさらに厳しい制度改正も議論される可能性もあります。
私の感想としても、前々から申し上げている通り、こんな人たちに原子力の運営はできるはずがない!
と考えております。
なんらかの措置が必要だと思います。

とはいえ、関西電力でなくとも、電力会社の就活生の皆さまに取りましては、青天の霹靂。
訳がわかりませんよね。

電力会社に入りたいが、どこの会社が良いのかわからない。
というお声もよく聞きます。
内部にいた人間ならわかりますが、大手電力会社とは言っても微妙に「企業体質」は異なります。
幸いほとんどの電力会社に知り合いが複数いますので、その人となり・その人が話した会社の雰囲気を
参考に、微妙な違いをお知らせいたします。

単に「地元」ということではなく「こんな感じか」という情報を持って志望先を決めてください。
ただし、

  • 私の主観であり、私の知り合いがその会社の体質を代表するものではありません。
    当たり前ですが。
  • 新電力のことはわかりません。
    ただJERAのような電力系の会社は想像はできます。
    本体の「体質」+営業的なエグさで良いでしょう。
  • 沖縄電力、J-POWER(旧電源開発)、日本原子力研究開発機構(旧動燃事業団)には知り合いがおりません。
    割愛させていただきます。
スポンサーリンク

東京電力

まずはこの会社でしょう。
福島事故そのもの、事故後の「炉心溶融」を認めない意味不明な記者会見、事故記念館での土産物販売、安全対策工事の未了、中央制御室のテロ対策不備。
いろいろやってくれます。
※変わりたい変われない電力会社の企業体質。このままでは周回遅れに。

日本の電力業界のことは東電が決める。
という自負があり、実際に政府や経産省へのロビー活動も積極的だったような気がします。
福島事故以降の傲慢さや、自己中心的な言動の理由もこの辺りだと想像できます。
反面驚いたことがあります。
映画「Fukusima 50」や当時の報道で見た本店幹部と現場とのテレビ会議の模様です。
傲慢さや自己中心は自信の裏返しで、本店幹部や政府・経産省に対しても言うべきことは言うという文化があるのかと思いました。
福島第一発電所の故吉田所長のキャラクターだけの問題かもしれませんが、他電力会社にはああいう文化はありません。
政府・経産省・会社の上層部から命令されると絶対服従ということだったと思います。

どちらが良かったのかよくわかりませんが、本店幹部の責任回避と取られるような態度と、反対に本店に噛み付く所長。
両方とも東京電力だと思います。
いろいろ批判を受けていますが、福島事故前から全く変わっていません。
※参考:勝手に解明シリーズ、東京電力と関西電力はお勧めしません。

スポンサーリンク

関西電力

導入文でも書いた通り、金銭授受事件以降、問題は山積みです。
過去のイメージとしては、東京電力の対抗軸と言われます。
私はそうではないと思います。
原子力に徹底的に傾斜し、その世界ではパイオニアとしての自負・自信に溢れているという印象でした。
それが故に、福島事故で原子力政策が崩壊し、最も影響を受けたのかもしれません。
「原子力憎し」の風潮で、さまざまな古臭い企業体質が露呈しだしたということでしょう。
同業の電力会社の信頼を失い、今まさに社員の心も去りかけているという感じです。
「内部告発」が会社への諦めではなく、自浄作用であることを祈りますが、敢えて火中の栗を拾いに行くかどうか。
世の中や監督官庁の指導は相当厳しいものになると思います。
勇気と使命感は必要ですが、入社後の苦労は必然です。
※参考:勝手に解明シリーズ、東京電力と関西電力はお勧めしません。

中部電力

この会社が最も不可解・謎に見えるのではないでしょうか。
御前崎市に浜岡原子力発電所を抱えておられますが、昔からそんなに熱心だった印象はありません。
どちらかというと、火力発電志向であったような印象があります。

中3電とか中央3電とか言われ、東京・関西と並び称されますが、別に3社で仲良くしようよ、とか敵対するとかいう感じでもありません。
東京・関西で不祥事が相次ぎ、電事連会長を勤められた際も、なんとなく淡々とした感じがしました。

ただ、自由化の瞬間に東京電力と合弁で「JERA」を立ち上げるなど、大胆なところもある感じです。
社員の印象もそんな感じです。
冷静かつ大胆、というところでしょうか。
今後は、原子力の再利用が進行した段階で「JERA」をどうされるのか。
脱炭素圧力の中で注目されると思います。

※勝手に解明シリーズ。中部電力はホワイト企業。でも辞めたい社員もいます。

北海道電力

私の大好きな電力会社です。
九州電力も同様ですが、他電力会社の人間が出張とかで訪問すると、本当に心からのホスピタリティーで接していただけます。
語弊がありますが、出張といえども別に楽しみがあって来ている事を十分知っていますよ。
という感じで、痒い所に手が届くような対応をしていただけます。
私の知り合いはフワッとした感じで、お会いして不快な思いをしたことはありません。

地元自治体などの評判は聞いたことはありませんが、財界ではいつも中心的な役割を果たしておられ、
私の印象通りなのではと思っています。

一点心配なのは、広大なエリアでの送配電設備を形成する必要があり、それなりに対応をしておられるものと思いますが、発電設備が脆弱なような気がしています。
北海道胆振東部地震の際の全道ブラックアウトは印象に残っています。
当時、全道の供給力を一手に支えていた「苫東厚真火力発電所」地震の影響で緊急停止し周波数が低下。
一挙に停電地域が全道に拡大したものです。
どの電力会社も同様ですが、40年くらい前の火力発電所に頼らざるを得ない異常な状況を、一刻も早く脱する必要があります。
それだけでなく、50Hz地域で、唯一の加圧水型原子炉を採用する泊発電所の再稼働を1日も早く成し遂げるべきです。

※参考:勝手に解明シリーズ、北海道電力。

東北電力

ここはイメージとして、東京電力追従型、語弊があれば一体型という印象です。
あくまで私の印象なので、気を悪くしないでください。

ただ社員の方の雰囲気は東京電力とは随分違います。
みなさんお感じの通り、寡黙で我慢強く、心底優しいというイメージです。
東日本大震災は東北人だから乗り越えられた、と言われますが、まさにその通りと思います。
東北も北海道と同様、大震災にも耐えた女川発電所の再稼働を急ぐべきと考えます。
沸騰水型軽水炉の最初の再稼働を成し遂げていただきたいと思います。

※参考:勝手に解明シリーズ、東北電力。

北陸電力

北陸電力について、昔から不思議に感じていることがあります。
供給エリアは、富山県・石川県・福井県嶺北地方です。
明らかに、一番大きな都市は金沢市だと思いますが、本社は富山市です。
一番の大都市が本社所在地でないというのは北陸電力だけではないでしょうか。

ここからは想像です。
北陸電力を眺めると、富山県は首都圏、石川と福井県は中部・関西圏という気がします。
金沢は加賀前田百万石のお膝元で「小京都」と言われるほど街並みは京都そっくりです。
小京都と立山連峰を有する富山県。
苦渋の選択で、首都圏に近い富山市を選ばれたのではと思います。

イメージとして北陸といえば「暗い」という印象があります。
社員の何人かとお話しすると、それは間違いです。
しかも酒席を共にするとよくわかります。
イメージだけだったことを。
ホームページの最初に、電気とかかっているのかもしれませんが「北陸を明るくしたい気持ちは、どこにも負けない」とあります。

自然・酒・歴史を愛する方には絶対にお勧めです。

※参考:勝手に解明シリーズ。北陸電力。

中国電力

昨年、島根県の丸山知事が中国電力島根原子力発電所2号機の再稼働に「現状においてはやむを得ない」というコメントとともに同意表明されました。
島根2号機は福島第一と同様、沸騰水型軽水炉(BWR)です。
「現下の経済状況や世界情勢を鑑みて、原子力再稼働以外に乗り切る手立てが考えられない」とのご判断でしょうか。

これには驚きました。
世界初の被爆地「Hiroshima」に本社を置く電力会社です。
原子力に対するアレルギーも想像を絶するものと思っていました。
中国電力の友達も「それが悩み」と嘆いていました。
この友人とは、それほど深い付き合いではなかったので当時は気づきませんでしたが、地域対応に秀でた会社なのではないでしょうか。

でなければ、原子力アレルギーが厳しい地域で、沸騰水型炉で、しかも地元知事から言い出し、再稼働を進めるなど考えられません。
山口県にも上関発電所の建設計画をお持ちですが、容易く達成されるのではないかと思っています。

※参考:勝手に解明シリーズ、中国電力。

四国電力

この会社は面白いです。

愛媛県に伊方原子力発電所があります。
何年も前、その運転開始前か後かは失念致しましたが、電事連大の議論として、原子力PAを積極的に
取り組もうという議論がありました。
私もその検討メンバーに入っていましたが、結論としては、整然とした見学会は積極的に。
誰が発電所構内に入ったか把握できないようなイベントなどはやめましょうということになりました。
当時、核物質防護(Physical protection)という考え方があったのかどうかは覚えておりませんが、
これが経産省(当時通産省)の意向を踏まえたものであったことは間違いありません。

ところがある日突然、伊方発電所でファミリー向けの開放型イベントを実施されました。
委員会のメンバーは一様に驚き、四電のご担当に問い合わせました。
みんな地元紙の報道で知ったような状況です。
「自分の敷地で、自分たちの責任で、地元のためのイベントをやって何が悪い!
地元自治体も子供達も大喜びだった。」という回答です。
これです。
これが四国電力王国です。
ごめんなさい、良い意味で行ってます。
後で役所から大目玉を食らったそうですが。
委員会に出席されていた方は普通の面白い方でしたが、会社としては何をやっても大胆だったイメージがあります。
※参考:勝手に解明シリーズ、四国電力。

九州電力

九州といえば、どんなイメージをお持ちですか?
質実剛健、竹を割ったような、という感じですか。
私の知り合いの九電社員はまさにそんな方々です。
九州の人は全員ということでは、もちろんありません。
私の知っている九電の社員は、ということです。
前に、東京6大学のラグビー部の九電社員の方の話をさせていただきました。
うちは、頭脳採用:コネ採用:体力採用が三分の一づつ、と言った男です。
今でも家族ぐるみの付き合いをしています。
彼から紹介してもらった九電の九州男児が多数。
それだけでなく、男前な女性社員も多数です。

地域対応もそんな感じなのでしょう。
佐賀でも鹿児島でも地元の方が九州電力の悪口を言ってるのを、あまり聞いたことがありません。
加圧水型採用会社ということもありますが、再稼働が早く・多いのもうなづけます。

※参考:勝手に解明シリーズ、九州電力。

日本原子力発電

この会社はあまり知られていないかも。
1966年に、日本で初めて原子力発電の商業運転を開始した会社です。
原子力発電専門会社で、電気事業連合会ではオブザーバー的な立場で加入されていたと思います。
対応が大変丁寧で、何となく事務系の人でも学究肌な感じがしました。
知り合いに言わせると、原子力発電会社なので、我々は客。
ということでした。
電源開発(今は改め、J-POWER)なんかも同じなのかもしれませんが、そんなことでは理解できない
不思議な感覚の方が多かったです。
当時はBtoCの業務がなかったからでしょうか。

ただ次回の転職者事例で書こうかと思いますが、大手電力から出向し、そのまま嵌まり込み、転籍した方もおられます。

まとめ

私がもし、もう一度電力会社を選び、やり直しをさせてやると言われれば。
先方から拒否されないとすれば。
中央3電の傲慢さと非常識さには辟易とします。
九州電力の豪快さと北海道電力の優しさをまず考えます。

また発電専門会社も面白いと思います。
自由化でどこにでも販売できるようになりますので、傲慢な大手電力会社に販売しない自由もあります。
これまでと全く違う経営戦力を組み上げることもできそうです。
とても面白そうです。

主観で勝手なことを言いました。
疑問・異論・怒り・質問はお問い合わせを。

企業体質・イメージ
塾長こと一村一矢

「電力会社就活塾塾長」こと一村一矢です。
電力会社のOBで、40年あまり原子力発電所を中心に勤務いたしました。
引退後は小説やコラムを書いています。電力ネタはあまり興味のあるモチーフではありませんでしたが、コロナ禍で企業や店舗がバタバタと倒れる中、電力会社への就職希望者が殺到という噂を耳にしました。 電力会社は今も安定企業なのでしょうか? 就活生のために私の知る限りの実態をお伝えいたします。